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- CIPセッション「GaNマイクロ波加熱が拓くものづくりの未来」(日本化学会)にて、
GaNによる新しいマイクロ波加熱技術を説明します。 - HPを公開しました。
- 企画セッション「電磁波と高分子のクロストークで拓くSDGsイニシアティブ」(高分子学会)にて、
精密なマイクロ波による高分子反応の制御を説明しました。
研究概要
左図は、マイクロ波による新規な化学反応の各年度における報告数です。近年、マイクロ波による反応場制御を、化学反応・材料プロセス・資源循環・低炭素技術へ展開する機運が高まっています。本事業は、マイクロ波化学、マイクロ波触媒反応、反応場制御を中核に、マイクロ波を単なる加熱手段ではなく、触媒活性点、界面、局所高温場、電界・磁界応答を精密に制御する外部刺激として捉え、反応速度、選択性、エネルギー効率の向上を目指しています。 さらに、in situ/operando計測、材料物性評価、誘電率測定、電磁界解析、温度分布測定を組み合わせ、反応場の学理構築から加熱炉設計までを一体的に推進します。 バイオマス変換、資源循環、廃棄物・リサイクル、低炭素プロセス(正しくは、低CO₂排出)など、持続可能な製造技術への応用を重視します。本事業により本分野の学術的発展と産業応用の接続を進め、マイクロ波反応場制御に基づく次世代化学・材料プロセスの社会実装を目指します。
GaN半導体発振器は、周波数、位相、出力を高精度かつ高速に制御できる新しいマイクロ波源です。従来のマグネトロン型加熱装置とは本質的に異なり、マイクロ波を「設計可能な電磁場」として扱うことを可能にします。 これにより、数値計算に基づいて電磁場分布を自在に設計したり、時間変調を利用して加熱の均一性を高めたりすることができます。また、目的の領域にエネルギーを意図的に集中させることで、材料の選択加熱や急峻な温度制御も可能になります。 その結果、プロセスにおける加熱の再現性や安全性が向上するだけでなく、従来は不確定要素とされてきたマイクロ波効果を、工学的に検証し、活用するための基盤を構築できます。 GaN半導体マイクロ波は、マイクロ波加熱を経験則に基づく技術から、反応場そのものを設計する精密プロセス工学へと発展させる鍵となります。さらに、コヒーレントなマイクロ波を利用した新しい反応制御の可能性を切り拓く技術としても期待されます。
マイクロ波を用いた化学反応では、単なるジュール加熱だけでは説明できない、電磁場との相互作用に起因する反応速度や生成物選択性の変化がしばしば報告されています。この現象は「マイクロ波効果」と呼ばれ、長年にわたり研究者の関心を集めてきました。 2025年には、マイクロ波が対象物に対して原子レベルでエネルギーを供給していることが報告され、従来のナノレベルを超える、より精密な選択加熱の可能性が示されました。一方で、従来広く用いられてきたマグネトロン発振器は、その発振特性のばらつきにより、反応現象を安定して観測することが難しく、再現性の確保が長年の課題とされてきました。 今後、科学・工学をさらに発展させるうえで、反応の高速化、省エネルギー化、そして選択性の向上は重要な鍵となります。GaNデバイスが生み出すコヒーレントな電磁場を高度に活用することで、これまで未解明であった「マイクロ波効果」の本質に迫ることが期待されます。
GaN発振器を用いた新しいマイクロ波加熱炉は、従来のマグネトロン方式では困難であった位相・周波数・出力の精密制御を可能にする点で画期的です。GaN は高速応答性と長寿命を備え、マイクロ波の波形をリアルタイムに調整できるため、加熱場の均質化や局所過加熱の抑制が容易になります。また、複数の発振器を協調制御することで、炉内の電磁場分布を意図的に設計することが可能で、反応選択性の向上や材料プロセスの最適化が期待されています。さらに、安定した連続発振特性は産業用途で求められる再現性・安全性を向上させ、将来的にはマイクロ波化学プロセスの標準的熱源として広く普及する可能性を持っています。
GaN半導体発振器の性能を最大限に引き出すには、電磁場分布を精密に制御できる加熱容器が重要です。容器には、マイクロ波の反射や定在波を抑えつつ(もしくは、強調する)、試料に効率よくエネルギーを集中させる設計が求められます。熱学と電磁気学を基盤として設計され、数値計算で最適化されたマイクロ波加熱装置を開発する必要があります。
化学産業で排出される二酸化炭素を削減するためには、加熱プロセスの電化は極めて重要です。化学プロセスでは、反応、乾燥、焼成、分解、再生など多くの工程で大量の熱が必要とされ、現在も化石燃料由来の燃焼加熱に大きく依存しています。これを再生可能電力に置き換えるためには、単なる小型実験装置ではなく、実生産に対応できる大出力のマイクロ波加熱装置が不可欠です。マイクロ波加熱は、材料内部への直接加熱や選択加熱が可能であり、従来加熱に比べて加熱時間の短縮、熱損失の低減、温度制御性の向上が期待できます。一方で、化学産業で扱う処理量は大きく、数kW級の装置だけでは社会実装に限界があります。したがって、数十kWからさらに大型化した高効率・高信頼性のマイクロ波加熱装置を開発し、連続処理やスケールアップ設計に対応することが、化学産業の本格的な電化に向けた重要な基盤技術となります。
「反応場に直接エネルギーを加える」マイクロ波化学プロセスを、資源循環や低炭素技術として社会実装するためには、マイクロ波を照射するだけでは不十分です。材料が高温下でどのようにマイクロ波を吸収し、電界・磁界・温度場の中でどのように応答するかを把握し、その反応場を実現する加熱炉として設計する必要があります。 この設計の基盤技術として高温誘電率測定を重視しています。誘電率は温度、周波数、反応進行、材料状態によって変化するため、室温物性だけでは、実際の加熱挙動、反射、温度ムラ、局所過熱を正しく評価できません。高温誘電率測定により実プロセスに近い物性を取得し、FEM解析、反射測定、温度分布測定と組み合わせることで、炉形状、導波管、出力、周波数、給電方式、安全対策を含む加熱炉仕様へ落とし込みます。 測定データに基づくマイクロ波反応場設計と加熱炉設計を一体で進め、マイクロ波化学、資源循環、排出CO₂削減プロセスの社会実装に向けた技術開発・炉設計を推進します。






